Addo Elephant National Park

エリザベス港の北方100キロメートルの場所に象専門の保護区があります。アッドエレファント国立公園といいます。この公園は1931年に建設され、トロロープ(Trollope)により創設され
 た、アフリカ象を専門に保護することがメインです。初期にはわずか11頭の象しかいませんでしたが、1943年から1960年の間に、南アフリカケープ州地区の象は、計画的に園内に移され、今では園内全部で150頭の象がいます。ここの単位面積はわずか1万2千ヘクタールで、他の南アフリカの国立公園と比較すると、「ミニ」国立公園でしかありませんが、ここで保護されているアフリカ象の頭数は、各公園の中ではトップで、現在公園内には象の他、ジャイアントイランド、レッドハーテビースト、ヌー、イボイノシシ、黒サイ、アフリカ水牛、ジャッカル等、全部で1千種類以上の動物がいます。
 

アッド種の象とはいわゆるアフリカ象のことで、性格は凶暴で豪胆で、アフリカのジャングルの中では向う所敵なしと称される一方、白人がまだアフリカに
 
移民に来ていなかった時は、「アッド」は自由自在に、ジャングルからまた別のジャングルへと食べ歩き、大量の樹木を枯死させるとはいえ、白人移民後の大量開墾による森林破壊に比べればまだ極めて少数です。開墾でできた新しい畑に大量の果樹を植えたことは、新移民に富をもたらしましたが、「アッド」には死への道を歩ませることとなりました。なぜなら「アッド」の膨大な摂食量は、果樹園、農地を跡形もなく破壊するので、白人は「アッド」に対し非道極まりない大虐殺を実施し、アフリカ象の頭数は大幅に激減し、1982年南アフリカは「アッド」を絶滅に瀕した動物として記載し、「アッド」の数量はやっと「持ち直した」のです。
 

今日公園内にいる450頭の「アッド」は、園全体で8箇所ある水洞または堰エリアに集中しています。一般的に明け方と夕方に、ジャングルの中に隠れていた象の群は集団で「出かけ」ま

 
す。観光客はただ水洞の畔で見守っているだけで、群をなした象のふざけあい、周囲に向って威勢よく吼えるさまを眺めることができます。象の水浴びは一般的に象が水が好きまたはお風呂が好きと思われていますが 、実はそうではなく、象は鼻で水を吸い、身体にかけますが、これは主に熱くなりすぎた体温を発散させるためです。ですからほとんどの人が見かける象はいつも水と一緒に生活しているのです。象が大きい動物だからといって侮るなかれ、彼は泳ぎの達人なのです 。水深が深い湖に差し掛かっても、メス象は尻尾で子象の長い鼻を引っ張って泳いでいきます。

  アフリカ象の適応性は極めて強く、南アフリカ東海岸から西部のナミブ砂漠及びモザンビーク辺境のバブドゥ潅木林等いずれもその足跡があります。
当初1658年にはハンターが象牙のためアフリカ象を殺していましたが、当時ハンターが使用していたのは矛と弓矢で、狩り取れる象は限られていました。しかし18世紀になると、まるで象の死の世紀になったかのように、ハンターは隊員も馬も整えてアフリカに進出し、銃を使用して計画的な虐殺を行ないました。当時ケープ州では1日平均およそ22頭の象がただ2本の象牙のために、被害に遭っていました。

1979年アフリカ象的の頭数は約180万頭いましたが、1988年になると73万5千頭に減り、1989年にはわずか62万5千頭になってしまいました。現在 アフリカ象の大部分はアッド国立公園のような保護区内で生活しています。しかし貪欲な人類はその高価な象牙を狙って、各種自動銃器、現代化された移動手段で、一流の通信器材を用いて、レンジャーとかくれんぼをしています。アフリカの各保護区内で、毎年なお百頭に上る象が密猟に遭い、その頭数はじわじわと減ってきています。

一般にアフリカ象のオスは高さ4メートル、メスも3メートルあり、世界では身長がキリンにわずかに次ぐ動物です。アフリカ象の主食はニセアカシアの木の葉で、アッド公園内では低潅木の藪の他、あちこちでニセアカシアが見られ、木にはいっぱいトゲが生えていますが、象にとっては彼らの大好物で、彼らは通常その鈍重な体を幹にぶつけて倒し、鼻の先端部分の人の手指のように突出した部分を使って、木の葉を少しずつ食べてゆっくり心ゆくまで味わいます。しかし彼らは通常木の根と青草も食べます。1頭のおとなの象の食事量は驚異的で 、1日に150~200キログラムの植物を食べ、更に220リットルの水を飲みます。ですからアッド公園内で、人が囲った植物エリアの他にも目をやると、赤土が剥き出しになり、枯れた蔓草や樹木が林立していますが、これらはいずれも「アッド」の傑作なのです。

象は群を作る動物で、一般的に「ボス象」は群の中で最も強いオス象で、オス象は「ボス」の座を争う時、懸命に立ち向かいます。ボスになれなかった象は自分から離れていきます。但しこの「ボス」も老いた時は、しょっちゅう「捨て象」になってしまいます。昔日の威厳はなくなり、残ったのはただ2本の長い黄色い牙だけ。アッド公園内には、保護している老象も非常に多く、長い象牙、ゆったりした足取り、群を離れ遠く一人で食べ物を探すさまを見ることができます。観光客は老象を見てかわいそうに思いまたはその特長である象牙をじっくりこの目で見ようと、手を伸ばして触ろうとしたり、または車を下りて象に近づこうとしたりしますが、アッドは危険動物であることを忘れてはいけません。彼の鼻は軽く振るだけで5百ポンド以上の力が出ます。観光客の皆さんはくれぐれも油断しませんように。

アッド公園内にはサファリ小屋があり、内部設備もなんでも揃っています。園内には専門ガイドが昼夜のサファリサービスを提供しています。明け方の「アッド」、夕陽の「アッド」、夜の「アッド」それぞれの姿は異なります。または水遊びをし、または木にぶつかり、はたまた決闘と、象が好きなあなたは、 大満足して帰れること請け合いです。